手嶋さんインタビュー01

春ですね。希望や不安を胸いっぱいにして卒業間もない若者たちが新たな世界へと⽻ばたいていきます。ところがその群れの中にひとりこんなユニークな新⼈が混じっていたのです。

手嶋さんプロフィール ⼿嶋隆⾏さん
1965年⽣まれ。⼤学卒業後、福岡県庁就職。
県⼟整備事務所 総務課⻑を経て2020年春、退職。現在に⾄る。

 

まさか県庁を辞める?!⾃分がびっくり

なりたい職業の上位にランクされる公務員という職業。しかも⼿嶋さんの場合、定年の六⼗歳まであとたったの五年…にもかかわらず「『退職します』ってどういうこと?」と、周囲を驚かせている。
ところが「まさか県庁を辞めるなんて、夢にも思っていませんでした」いちばん驚いているのは実は、⼿嶋さん⾃⾝だった。

きっかけは五年前。⼈⽣の折り返し地点とも⾔われる、五⼗歳の誕⽣⽇を迎えた⽇に遡る。

 

右肩上がりするもの

このめでたき⽇、⼿嶋さんは漫然とした不安に取り憑かれていた。
「体⼒は落ちていくし…記憶⼒も落ちていくし…これから先は右肩下がりなんだ…」
すると、⼼が叫び始めた。
「⼈⽣これで終わるのはいやだ!右肩上がりするものが欲しい!⽬に⾒える形でほしい!」

そして、短絡的に結論した。「英語でもやってみるかぁ」
英語に全く興味を持たない⼿嶋さんだっただけに、やれば確実に『右肩上がり』というわけだ。

さっそく英単語本を購⼊した。「毎⽇少しづつ単語を覚えていこう。三個覚えてニ個忘れても⼀⽇⼀個づつは覚えられる!」
取り憑かれたように覚え始めた

 

FCCとの遭遇

そうするうちに「英会話教室に通おう!」
なんと、単語本から教室への『右肩上がり』だ。
するとその時、たまたまFCCに通っていた友⼈のアドバイスが⼼に引っかかった。
「『FCCという英語学校は【真⾯⽬で厳しい】がキャッチフレーズだけど、いわゆる全国チェーンの学校
とかと違って英語⼒は確実についていきますから、どうせお⾦を払うなら、FCCにしたらいいですよ」

しかし勧められるまま【学校説明】を聞きに⾏ってドン引いた。
「カリキュラムは多いし、週⼀で【英語⽇記】まで提出するんですよ。学⽣ならまだしも、社会⼈の私にはぜったいムリと思いましたね」
時間はないし、⼋幡から通うのも⼤変だし…とか思いながらも「やってみるかぁ」

⼀週間後、⼊学を決めていた。
⽇曜⽇の朝⼋時。期待に胸をふくらませ、博多⾏の⾼速バスに乗り込む⼿嶋さんの姿があった。

 

反射的に⾔葉が返せるまでの⼀年

しかし教室に着くや「How do you do ?」「……………………?」
しょぱなで、カタマッタ。初級クラスの、しかもこんな簡単なフレーズが聞き取れなかったのだ。
「こりゃ、失敗したかな…」

そこで「ガンバレ⾃分!」と、バスに乗れば英会話CDを聴き、教室に着けば真⾯⽬に授業を受け、待ち時間には⾃習。そんなルーティンを繰り返すうち「講師が⾔ってることが、だんだん解るようになってきました」

ところが「頭の中で⽂法を考え、⽂章を完成してから喋るからでしょうね。⾃分が思ったことは、なかなか⾔えませんでした。喋ろうと思った時は先⽣、もうアッチ⾏ってましたから(笑)」

しかしそんな⼀年が過ぎる頃「How are you ?」「Iʼm fine ! 」反射的に返せるようになっていた。
いきなり訪れる、ブレイクスルー(障害突破)というやつである。

 

仲間たちとの交流

FCCの特⾊の⼀つに様々な課外活動や交流イベントがある。それをずっとスルーしてきた⼿嶋さんだったが、花⾒、と聞いて参加した。
教室とはうって変わった和やかムードに、顔を合わすことのなかった他クラスの⽣徒たちと意気投合。
「英語学習が本当に楽しくなったのはそれからですね。『こういう勉強⽅法があるよ』とか、もの凄い情報が⼊ってくるようになったんです」
それからというもの、ラジオ講座、英字新聞など、楽しいと思えばどんどん取り⼊れるようになった。中にはこんな例もある。
「せっかく英語教室に来てるのに、⽇本語で喋るのは勿体無くない?」
「どうせなら、私たちの普段の雑談も英語でしてみましょうか」
誰からともなく⾔いだしたこのアイディアで、早速⼟⽇の昼休み時間にロビーで受講⽣同⼠の⾃由な会話タイムが誕⽣。誰でも参加でき、話す内容も⾃由だ。

 

ドイツ⼈だって英語

海外への関⼼も右肩急上昇となった⼿嶋さんは、ネットのAirbnb で紹介される海外⺠泊を利⽤して、世界中を旅するようになった。
「旅して解ったことですが、どの国の⼈たちも英語を話していますね」
中でも息⼦さんがホームステイしていたドイツはもはや第⼆の故郷。息⼦さんの通訳で過ごした初回とは違い、⼆回⽬以降は通訳なしだ。
「ドイツの⽅たちも英語は話しますからね。おかげでストレスも無く、楽しく過ごしました」
駅で券売機のドイツ語に迷っていた時も「May I help you?」助け⾈は、英語だった。
「英語が話せるようになったおかげで世界中の⼈たちとダイレクトに交流することができました。カタコト英語でも、⾝振り⼿振りの総合⼒を発揮して話すんです。AIとか⾃動翻訳機とかは無表情な機械に過ぎません。話す⼈の表情や雰囲気や⼼まで伝ってこそのコミュニケーションです」

 

退職理由…実は恩返し

様々な国の⼈々の温かさにも触れた。例えばヘルシンキ。
トランジットで降り⽴った空港は真っ暗闇のド⽥舎だった。ぽつんと⽬に⼊ったコーヒースタンドの灯。
そこでホテルに⾏くバス停への道を尋ねた。
すると彼⼥は「Wait a minits.」とシャッターを閉め、真っ暗な道を500メートルほども⼀緒に歩いて、バス停まで案内してくれた…。
「英語を使って、⽇本に来た外国⼈をお助けする仕事がしたい!受けた恩は返さんといかん!」
県庁早期退職にあえて理由をつけるとすれば、そう…恩返しなのだ。

 

うまく⾏かなかったら修正すればいい

退職後の⼿嶋さんが⽬指すのは通訳案内⼠。ちなみに英語を使う仕事の中で唯⼀国家資格が必要とされ、その合格率は10%以下。
「資格取得のかたわらAirbnb の体験紹介ページに登録し、海外からの旅⾏者たちを集めて、⽣まれ故郷(⼋幡)の魅⼒を紹介していきたいんです」

⼋幡は産業遺産だけでなく、豊かな⾃然に恵まれている。⼿嶋さんの未来予想図には既に、⽞界灘の波打際に沿う⾃転⾞道(なんと20キロ)を、旅⾏者たちと⾵を切って⾛る様⼦がイキイキと描かれている。

「夢と希望があったら、毎⽇が楽しいじゃないですか。うまくいかなかったら修正すればいいだけの話でしょ。英語は未来への扉を開きます。英語を話せるようになって、私の未来も開かれました。FCCに通って本当によかった」

 

私は今、ここにいます

まだまだ⾔い⾜りないふうではあったが、⼿嶋さんはこう、⾔葉をしめた。

「この学校に通われている⽅は、ビジネスや経験で⼀流の⽅が多い。仕事とのやりくりをつけながら、英語を使って⼀歩も⼆歩も踏み出していらっしゃる。そういう⽅たちとの出会いなど全ての条件が重なって、私は今ここにいます」

⼿嶋さんの⼈⽣は、これからだ。

※こちらの内容は「Gariya(ガリヤ)2020年3-4⽉ 春号」特別インタビューを転載しております。
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